愛着を育む保育についてまとめた記事です。
・愛着って何
・知ってはいたけどどうやって育んでいけばいいかわからない
・今後の保育に愛着を大切にしていきたい
こんなあなたにぜひ読んでほしい内容となっています。
僕は、今年「愛着形成を大切に保育を進めていく」という目標を持ちながら4月から保育を行ってきました。

愛着は基本的に親子間で育まれていくものですが、一日の半分以上の時間を共にする保育士との愛着形成も必要なものだと思います。
愛着は、保育園の様々なシーンで育むことができます。
今回は「生活の中」「遊びの中」「環境」と3つに分け、この1年間を振り返りながら、生活の中で意識していたことを紹介していきます。
なぜ愛着は大事なの?
愛着とは親や保育者等に対して築く特別な情緒的な結びつきのことです。
この結びつきが深まることで、周りの世界が気になり社会性に結び付いたり、安心できる環境から一歩外に出てみようという積極性につながったりします。
一日の半分を保育園で過ごす子どもが多いこの時代。
だからこそ、保護者だけではなく保育者との愛着関係はとても大切になります。
保育士一人一人の言動が愛着につながります。
ぜひこれからの内容を参考に日々の保育を行っていってくださいね。
日々の生活の中で愛着を育む方法
まずは、普段の生活の中で取り入れられるものを紹介します。
【午睡中の一工夫で愛着を育む】

何も考えず電気を消してトントントン・・・
これでは作業になってしまっていますよね。
確かに子どもたちが眠るこの時間だけが唯一の仕事時間ということは僕も理解しています。
しかし、愛着を育んでいく為にも大人が主体ではなく子どもたち一人一人の特徴を理解し、その子に合った関わりをしていくことが大切になります。
「端っこじゃないと寝れない子」「みんなが寝静まった後じゃないと寝れない子」「真っ暗じゃないと寝れない子」一人一人に合った対応を探しながら保育をしています。
【小さな確認で愛着が深まる】
気温も下がり、鼻水が出ている子が増えてきたのではないでしょうか。
そんな時、皆さんはどうやって拭いてあげますか?
いきなり手を伸ばしたり、後ろからさっと拭いてしまったという人は多くないはずです。

まだまだ子どもたちは、鼻水が垂れていることに気づいていないこともあります。
その中で、何も言わず鼻を拭いたら「急に鼻をつままれた」「前がいきなり見えなくなった」と、恐怖を感じますよね。
「鼻水が出ているから拭こうね」この一言が大切なんです。
こまかいかもしれませんが一つ一つ丁寧に行っていくことで、子どもたちとの愛着関係や、優しい心の成長にもつながります。
おむつ替えの時や、抱っこをするときもそうです。
子どもの目線に立って関わること、これがとても大切なことです。

【進級に向けてと無理にやらせていないですか?】
年の後半に差し掛かり、進級に向けた取り組みが始まってきているのではないでしょうか!!
僕の1歳児クラスでも、ロッカーから物をとってきたり、ブクブクうがいを始めてみたりと様々なことに取り組んでいます。
そこで忘れないでほしいのは、子どもの興味に合わせて進めていってほしいということです。

やりたくなるのも、やりたくなくなるのもその日の気分でコロコロ変わるのが乳児期の子どもたちの特性ですよね。
やりたくないことをやらせてくる保育者には愛着は芽生えません。
みんなが足並みをそろえて同じことをする必要はないのです。
僕も「できるようになってほしい」を押し殺しながら関わっています。
やってみたいという気持ちをまったり、やりたくなるような仕掛けを散りばめたりしながら、働きかけていけるといいですね。
【食事中も愛着を深めるチャンス】
手で食べる子や、足を上げながら食べる子に対して、どうにか直してほしいという気持ちはわかりますが、それを強要させすぎてはいませんか?

僕の園でも以前は「牛乳を飲み終わらないとおやつをあげない」「デザートは完食してから」等というくだらない暗黙のルールがありました。
これは子どもの気持ちを尊重することからかけ離れており、子どもとの愛着関係も生まれませんよね。
乳児期の食事はご飯の時間が楽しいと思ってくれることが一番です!!
僕の園ではルールやマナーはとりあえず置いておき、言語や物の理解が深まってから少しずつ伝えていけるようにしています。
【愛着を育むためには個々のペースに・・・】

「今日はみんなで園庭に行きます」「みんなでいただきますをするよ」と、みんなを一つのレールに敷こうとはしていませんか?
自分の思いを満たされなかった子は、イヤイヤしながら気持ちをわかってくれと表現します。
そこで、「まだ遊びたかったのかもしれない・・・」「おなかがすいていないのかな?」と、疑問を持つことが大切です。
食事の部分をピックアップするなら、おなかが空いて涙したり、眠そうにする子から食べさせればいいのです。
みんなが食べる姿を見て少しずつ興味がわいたり、充分自分の好きな遊びをして気持ちがみたされたりすれば自然と椅子に座ります。
僕のクラスではこのような食事での関わりを意識しています。
思いをくみ取ってもらい、気持ちが満たされるということは愛着が生まれます。

遊びの中で愛着を育む方法
次に、遊びの中で意識して欲しいことを紹介しています。
【大人の都合では愛着は育まれない】

一年も後半になり、1歳児クラスの子どもたちは、「あれもやってみたい」「これもやってみたい」と、広々とした園庭に散らばる姿が見られるのではないでしょうか。
ジャングルジムに上ろうとする子を抱えて砂場に連れて行く等、「まだ危ないから」という決めつけや、「人が足りないから」という大人の理由で遊びを制限していませんか?
やってみたいという興味や意欲が生まれることは成長しているということです。
そんな純粋な思いを受け止めてもらえない子と、保育者との間に愛着は生まれるのでしょうか。

僕のクラスでは、一緒に園庭に出ているクラスの先生や、事務所の職員の力をかりながら、やってみたいことはできるだけやらせてあげる環境を整えています。
できた時の自信や、できなかった時の悔しさ、そんな経験や気づきはやってみないと感じることはできないですよね。
【みんなで○○やろうね!!】

例えばボール遊びの場面を想像してみてください。
どんな子どもたちの姿が見られますか。
「保育者とボールを投げ合う子」「同じ色のボールを集めようとする子」「隙間や穴に入れようとする子」等子どもによって遊び方が違いますよね。
そんな時皆さんはどうしていますか?
前章の内容とも被るところがありますが、「今日はみんなでボールをポンポンするよ」と、遊びを制限しようとしていませんか?
そうではなく、可能な限り子どもたちの発見や気づき、やりたいことを尊重して環境の設定をしてみませんか?
僕は、集めたいなら袋や箱を用意したり、入れたいなら穴を開けた段ボールを用意してあげたりと、一人一人に合った遊び方ができるようにしています。
※子どもの行動から遊びにつなげる方法はこちらでも詳しく載せています。
【山ずみの絵本】

皆さんのクラスには、絵本がどのくらいありますか?
「あれもあったりいね」「これも欲しいね」と増やしていくうちに本棚はパンパンになり、子どもたちが取り出しずらいなんてことにはなっていませんか?
子どもは視力も低く、文字も読めない為、何の絵本が置いてあるかわからず、ただ本棚から出すことが楽しいという現状にもつながるのではないでしょうか。
表紙が見えるように置くことで、今の子どもたちはどんな本に興味があるのかがわかり、そこから配置する絵本の選別もできるのではないでしょうか。
僕のクラスでは、子どもたちの様子や発達に合った絵本を用意し、膝の上で一緒に楽しむ中で子どもたちとの愛着を深めています。
【強要は愛着へ悪影響】
1つのおもちゃや絵本を取り合い「僕のだよ」「私のだよ」と主張しあう姿が見られますよね。

これは、自分のものという認識や、他児への興味が生まれたことによる成長の証です。
その中で、「○○ちゃん貸してっていってごらん」「いいよって貸してあげるんだよ」というやり取りを強要させてはいませんか?
おもちゃを貸してもらえた子は嬉しいかもしれませんが、貸してあげた子どもはいったいどんな顔をしているのでしょうか。
言わされた言葉ほど意味のないものはありませんよね?
物の貸し借りは、これからいろいろな友だちとたくさん関わり、ぶつかり、ケンカをしながら少しずつ学んでいくものです。
更に言うと、この問題は幼児まで続いていきますよね。
乳児と幼児もどちらも経験した僕が言うんです。間違いありません。
だからこそ今の乳児という時期は、自分の気持ちが満足するまで遊ぶという経験をたくさんできるように働きかけを行ってみてください。

愛着を育む為に環境面で気を付けること
最後は環境面で大切にしてほしいことを紹介します。
【制限をしすぎると愛着に影響が・・・】
だんだんと歩行が上手になることで、様々なことに興味が出てくる子どもたち。
その興味は、部屋の外にも広がっていきます。

皆さんの保育園でもそうだと思いますが、僕の園は廊下と部屋の境が木の柵で仕切られています。
保育者の後を追い外に行きたい子や、窓から電車を見たい子も多く、柵の前は日々子どもたちで溢れていました。
一か所に密集することで、かみつき等のトラブルにもつながり、日々どうしようか悩まされていました。
そこでクラスで話し合い、他クラスとも相談しながら一つのことを決めました。
「柵は撤去して開けっ放しで生活してみる」ということです。
自分の行きたい場所、やってみたい気持ちを理解してくれた。
これが愛着につながっていきます。
制限ばかりだと子どもたちも窮屈ですよね。
そこをクラスだけではなく、園全体で子どもの思いを尊重する関わりができるといいですね。
【愛着形成には大人の行動を見直そう】

高いところに手が届かなくて机に乗ったり、狭いからとついつい机を跨いだりはしていませんか。
僕自身も、だめかな・・・と思いながらもやっていたところがありました。
よく考えてみると、この行動は子どもたちにまねして欲しいことではないですよね?
大人は子どもたちのモデルなんです。
「大丈夫?」と子どもに寄り添う保育者に囲まれた子どもたちは、周りの子どもにも思いやりの気持ちを向ける姿をたくさん見てきました。

大好きな先生がやっていることなら、「僕もやりたい」となるのが普通でしょう。
大人がやっているのに子どもだけに注意するのはおかしいことです。
愛着も深まりません。
今まで無意識に行っていたことももう一度確認してみるのもいいかもしれませんね。
この本が保育を見直すいいきっかけとなりました!
【進級するんだから・・・】
そろそろ次のクラスに向け、部屋の引っ越しや来年度の担任が保育に入る機会が増えてきますよね。
この時期の子どもたちはどのような心境なのでしょうか。
新しい部屋に新しい担任、色々な不安を感じていますよね。
確かに新担任の意向で一日の過ごし方や、部屋の環境等、変えていく部分もあると思います。
でも、すべてを変える必要はありませんよね。

そう思い僕のクラスで取り組んだのは、おもちゃや部屋の装飾など、できるところは今ま出通りにして少しでも安心できる環境を作ってみましょう。
環境の変化に不安が大きいのが乳児期の子どもたち。
1年間育んできた愛着関係を大切に残り数ヵ月も過ごしてみてください。
【愛着についてまとめてみて!】
今回は、愛着を育む為の保育についてまとめてみました。
僕自身も、今回紹介したことを毎日確実にできているかと言われればそうではありません。
その日の子どもたちの様子、クラスの現状、園の規模や職員体制等、様々な要因で難しいというのもわかります。
しかし、意識しているかしていないか、知っているか知らないかで関わり方は変わっていきます。
最後になりますが、ぜひ皆さんもできるところから始めていってほしいと思います。
前回の記事もあります。よかったらご覧ください。
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