こだわりが強い子どもへの関わり方や声の掛け方を紹介します。
・自分が担任するクラスにこだわりが強い子がいる方
・子どもの姿は捉えられているが関わり方がわからない方
こんなあなたに読んでいただきたい内容になっています。

「こだわりが強い子」は、みなさんの周りに一人はいると思います。
物や人等様々な場面で見られるこだわりですが、ここでは、実際に僕のクラスにいる「場所」へのこだわりが強い子にスポットを当て、実際に行った関わりや働きかけを紹介していきます。
結論から言うと「ちがう場所でも楽しめるという経験を繰り返す」ということが大切です。
「どういうこと?」の気持ちもわかります。
今回は、そこに行きつくまでの僕の考えや実際の関わりを踏まえながら伝えていきます。
ぜひ、今後の参考にしていただけたらと思います。

どんな時にこだわりが見られるの?
まずは、子どもの情報から確認してみましょう。
①4歳児クラス(年中)の男の子、一人遊びを好むが徐々に他の友だちへの興味が出てきている
②「こうしたかった」という思いが強く、思い通りにならないと癇癪を起すことが多い
③気持ちの切り替えはとても速い
④場所へのこだわりが最も強く見られ、他の友だちとのトラブルにつながることが多い。
特に④の場所へのこだわりが強い為、どんな時によくみられるか考えてみた。
・絵本の読み聞かせや、手遊び等自分に興味があるものについては、保育者の目の前で見れないと癇癪をおこす。
・運動会や発表会の立ち位置など、自分の場所は覚えられるが、少しでも他の友だちが近づくと「○○の場所」と手が出たり癇癪につながったりする。

こだわりの理由や保育者の思い
しばらく様子を見ていたが、担任と主任で話し合い個別の対応が必要ということで一致した。
そこでまずは、関わりに結び付けるためにこだわりが出る理由を考えてみた。
・感覚がとても繊細で、友だちとぶつかったりする触れられたりすることが苦手?
・ほかの友だちとの関わりが少ない分、自分のテリトリーに入られるという経験が少ないのかもしれない・・・

以上の2点を踏まえ、今度は保育者から本児への思いも考えてみた。
・少しずつ癇癪や手を出す以外の表現方法を知ってほしい
・進級、進学もかねて自分の思い通りにならないことがあることも知ってほしい
実際の子どもへの関わり
ここからは、保育者の思いを胸に僕が保育園で行った関わりを紹介します。
「ちがう場所でも楽しめるという経験を繰り返す」という結論に至るまでを段階的に紹介しています。
これだけが正解ではなく、一人一人に合わせた関わりということが大前提です。
参考になる部分をぜひあなたの園でも取り入れてくれると嬉しいです。
①落ち着く場所へ移動

まずは、癇癪が起きると自分では気持ちの制御が難しい為、部屋以外の落ち着いた場所で気持ちを落ち着かせていました。
気持ちの切り替え自体は早い為、散歩をしたり一対一でじっくり思いを受け止めたりしていき癇癪が収まってから部屋に入るようにしていました。
他の子どもたちも気になり周囲には人だかり、そうすると余計落ち着かない・・・
という悪循環も回避できますので、まずは物理的に環境を変えるということは本人にとっても、周りの子どもにとっても、取り入れてよかった関わりです。
②こだわりが見られる前に事前対応

次は、本人の場所を事前に決めておくということをやってみました。
本人が座る場所の目印を作り、座る場所や遊ぶ場所等、本人がこだわりが出る部分を先読みし事前に環境を設定していました。
朝の会は一番前で見たい→保育士の前に目印を置く
結果的に本人の好きな場所がいつも用意されているので落ち着くようにはなりました。
でも、僕はなんだかすっきりしませんでした。
確かに、個々にあった対応はとても大切です。
しかし、これからの進学のことを考えたり、一番前で絵本を見ようと、一生懸命身の回りのことを頑張る他の子どもたちのことを考えると、まだ違う方法があると考え始めました。
③他の部分でこだわりをもたせてあげる

今後のことを考えて過度な特別な対応はやめました。
自分で気持ちを切り替える方法を少しずつ知ってほしいからです。
しかし、こだわりが強いということは変わらず、個別での対応は必要です。
そこで今度は、違う場所でこだわる部分を作ることにしてみました。
「自由遊びをする場所」「自分が満足するまで遊んでみる」等、担任だけではなくフリーの職員の力もかりながら、できる部分で満足いくまでこだわる時間を作ってみました。
④違う場所でも楽しめるという経験を!!

違うところでこだわりを認めてもらっても、譲れない部分がある時はまだあります。
「ここがいい!」と癇癪を起こすことも日常茶飯事でした。
読み聞かせのワンシーンを思い出してください。
今までは、環境を変え気持ちを落ち着かせていましたが、少しずつ、保育者が傍にいながら気持ちを受け止め、膝の上や抱っこをしながら楽しむという機会を作っていきました。
この後がとても大切です。
「前じゃなくても楽しかったね」「先生と一緒に見れたね」と伝えてあげましょう。
違う場所でも楽しいことや、見れたという事実を知らせてあげることが大切です。
この繰り返しが、少しずつですが癇癪が減り自分で気持ちの折り合いをつけられるようになってきた現状につながっていると思います。
さいごに
今回は場所へのこだわりが強い子どもへの関わり方を紹介していきました。
最初にも伝えた「違う場所でも楽しめるという経験」を、大切にしてください。
その為にも、段階を付けた関わりを意識してください。
初めから大人の考えを押し付けても変わりません。
関わりの中でも伝えた、違うところでこだわりを持たせる、落ち着ける場所に移動してみる。
個々に合わせた関わりが子どもたちの安心や信頼につながります。
少しでも皆さんの参考になったら嬉しいです。
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